On the Denmark: Dialogue

デンマークの滞在で起きたこと、感じたこと、行ったこと、分かったこと

161日〜166日「終わりのチャイムが聞こえ始めた」

2018.02.27 〜 2018.03.04

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デンマークに戻ってきたら、まさかの大雪でバスの到着は2時間遅れで、飛行場で立ち往生。ようやく来たバスも、途中でタイヤが雪に埋まり、違うバスに乗り換えるという、いきなりの洗礼をうけたデンマーク最終章。

ちなみに、デンマークに戻ってきてから、ひとり暮らしは終わり、オーナーのアランがタイから帰国してきたので、共同生活が復活しました。常にコーラが飲み放題の環境になりました。

たぶん、このあたりから既に自分の中で、デンマークの滞在をまとめに入らなければならいという想いが強くなっていました。

去年の5月〜6月くらいに想い描いていた、滞在後の姿って、もしかして、なんかデンマークで流行っているデザインの潮流を見つけて、それを日本に持ち帰って、ついでに英語もペラペアになっちゃってたりして〜!!みたいな甘い考えは、もう既になく、色んなことを見切っていました。いったい僕は何を学んだのか。それと真剣に向き合うって資料にする必要があるなと。

とりとめなく、ざっくり、以下のようなことを考えていた気がします。

ちなみに、この期間はずっと『This is service design doing』を読んでいました。

それをまとめたnoteはこちら

 

note.mu

 

  • 英語はJapanese Engilishで良い。ゆっくり丁寧に話すことを心がける。分からなかったら開き直って、聞き直す。
  • 滞在は、たった9ヶ月しかない。できることは限られていた上で考える。
  • 3日、3週間、3ヶ月、3年で分かることは異なる。3年居ないと分からないことを知ろうとしない。(知っても、多分使える道具にならない)
  • あたつく組合とMED研究を通して気づいたことがデンマークで確認できただけでも上出来。考えていることは、世界の最先端だったと思おう!
  • 新しい知識を得た量は少ないが、デンマークのデザイナーに囲まれて生活できたことは大きい。自分の作業スタイルが明らかに変わった(身体知化された)
  • ルームシェアで、ブラジル人、デンマーク人と一緒に暮らせたことは、人生でみたらな大きい経験。
  • 大学院1年で消化不良になった知識を、ちゃんと消化するために休学したことを思い出そう。新しい知識ではなく、既に得た知識をもう一度よく味わってみよう
  • 持ってきた本をちゃんと読もう。デンマークから得ることもあるけど、本から得ることもある。(日本に戻ったら絶対読まない)
  • 日本語の論文や英語の論文をもう少し読もう!
  • フレームワークを追うのはやめよう。彼らは自分で発明している
  • ソーシャルデザインで大切なこと、分かったことはスライドにアウトプットしよう。カタチに残そう。
  • Twitterとnoteをちゃんとやろう。学んできたデザインの知を社会還元しよう。
  • そろそろ、デンマークっぽい施設を回ってみよう。今なら得るものがあるかもしれない。

一時帰国を通して、鬱っぽい気持ちはなおり、やる気も回復して、残り期間もがんばっていこうと、襟を正したのでした。

 

つづく

「一時帰国(2回目)」

2018.02.12 〜 2018.02.27

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日本に一時帰国していました。色んな理由がありましたが、下記の3つがその目的でした。

 

  • 会社の仕事のため(帰国後にやりたいことが分かってきて良かった)
  • Design @ Community の最終報告イベントに参加するため
  • 人に会うため

 

前回の反省を活かして今回は2週間日本に戻っていました。とても有意義な時間を過ごせました。そして、次に日本の土地を踏む時はすべてが終わった後なのだと、決意を改めました。

 

デンマークの第二章は、精神的にやられたおかけで、ソーシャルデザイン(社会系デザイン)やる前に、もっとヒューマニティみたいなことを考えないと、そこの土台を作った上に、デザイン(ツールとメソッド)を乗っけないと駄目なんだと、なんとも当たり前のことを学んだ期間だった気がします。

 

最終報告会で、あたつく組合の山内さんが

 

「人間の本質なんて、飯をともにして話す、それだけじゃないですか」

 

この言葉は、精神をやられた自分に対して、かなり染み込みました。

 

一緒にご飯をたべること、誰か(社会)とつながっていること

 

そういったことが社会系デザインをやる場合は、本当に大切なのだと身をもってわかりました。社会って、意味は結局、人の繋がりって意味なんですよね。

 

dictionary.cambridge.org

 

large group of people who live together in an organized way, makingdecisions about how to do things and sharing the work that needs to be done. All the people in a country, or in several similar countries, can be referred to as a society.

 

そういったことを、実体験として学べたことは、実は、どんなプロジェクトに関わるよりも、どんな事例の文献を読むよりも、自分の財産になるのではないかと、いまふり返ると思えます。

 

それでは、最終章のはじまりです。

159日〜160日「Zさん(同級生+新卒同じ会社)がデンマークに遊びにきた」

2018.02.10 〜 2018.02.11

 

Zさんとは、大学時代も新社会人時代も特に仲が良かったわけではない。別につるんでもいなかったし、今まで、会話した時間よりも、本日の会話時間の方が長かった気がするくらいだ。それでも、お互いが自分の中で、プロフェッショナルとは何かを問い続け、この10年間社会で奮闘してきた。だから、突然再会しても、そこには懐かしい話は必要なくて、お互いを懐かしむ時間は、望んでいない。それよりも、お互いの「問い」と「答え」のシェアをする方が遥かに有意義だからだ。

 

そういった話をする時間が、僕は大好きだ。きっと目をキラキラ輝かせて、Zさんの話を聞き入っていたと思う。そこには、一般論や正論ってものがないからだ。そんなGoogleで探したらすぐ分かるような、wikiに書いてあるようなことではなくて、その人が何に対して、怒りや悲しみや疑問を感じとって、そしてどう行動を起こして、いまいったい何を掴んでいるのか、何を大切な概念だと捉えているのか。そういった情報は、ネットでは、中々、見つけづらい。

 

Zさんは、最初の会社を辞めた後、Ziba Tokyo で働いた経験がある。まだ日本でデザインファームが今日ほど着目されていなかった時代に彼女はそこにいた。いまは、ベトナムで某写真サービスの現地法人を回している。そこでの体験談は、よくネットで見かける「越境しましょう!分かり合いましょう!」みたいな優しい言葉では片付けられない。そういった生の話をきけるのは、対面した時だけなのだ。そこには、ネットに上げるための編集された情報ではなく、RAWデータがある。

 

ネットですぐに情報が手に入る時代だからこそ、現場に行く、直接人に会いに行くことを大切にしていきたい(もちろん、人に会う場合は、相手の時間を一方的に奪わないように、自分から提供できるおもしろそうな手土産を用意するのが、僕の中でのマイルールではある。)

 

つづく

152日〜158日「論文を書いて分かったこと(+デザインキャンプを通しての備忘録)」

2018.02.03 〜 2018.02.09

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論文の採択は残念だったけど、自分で書いたことで発見したことはこんな感じ。

 

ゴールデンサークルを下敷きに、表現ワークショップを考えると、

  1. その体験はなんですか?
  2. その体験はどんなプロセスだったんのですか?
  3. なぜ、その体験をあなたは選択したのですか?

 

この過程を通して、Why を獲得する。Whyを獲得するということは、そこに意味を見い出すということだ。意味を見出せば、それが目的となる。これが、後天的な情熱を生み出すやり方である。

 

HCDとCo-designの違い

プロジェクトが終わった時に、その組織に対して、エンパワーメントされるような学びがあるかないかの違い。例えば、インタビューして、そのインタビューの対象者がインタビューが終わった後に、関連する物事に対して、新しい学びがあるのであれば、後者。なければ、前者。そんなことを自分で気づけたことが何よりも嬉しかった。

それ以外は、以下のTwitterのメモ参照。

 

つづく

 

140〜151日目「Design Camp 2018」

2018.01.22 〜 2018.02.02

PLAY - the design way | Designskolen Kolding

 

 

毎年、Design school Koldingが開催しているDesign Campというイベントの招待がきたので、参加してきた。このイベント、世界中のデザインスクールから学生が集まる。(飛行機代、宿泊費はEUファンドが全額負担)なんとも羨ましい。

 

今年のテーマは「Design for Play」。このテーマを元に、スポンサー企業が課題を学校側に提出し、学生が中心となって、10日間で課題解決の提案をする。デンマークを代表する企業(Danske Bank、LEGOなど)はもちろん、スターバックスなども参画していた。自分たちのチームは「LEGO」がクライアントだった。

 

このプロジェクトを通して、本当にたくさんのことを学んだので、一時帰国時にFindingsをまとめて、自分の会社では共有したが、契約書にサインしている関係で、どこまでパブリックに書いてよいのか分からない…。から怖くて書けない。

 

書ける範囲で記述すると、まず、僕らのチームは、クライアントがLEGOだった。このイベント、課題を見極める作業が既におこなわれて、HMWは設定されている。よくある学生向けのイベントで、リサーチが終わってから課題抽出して、時間切れみたいなことにはならない配慮がそこにはあり、なるほどっと思った。恐らく、学校側とクライアント側で事前の課題のすり合わせを実施していたのかなと。

 

とにかく、LEGOから提示された課題は「LEGO遊びをやめたた女の子に、どうやってLEGOを売るか?SNSを活用して!」が、私たちに与えられた課題だった。(この課題は、おもちゃ業界の共通課題でもある)そして、この課題、難易度が非常に高かった。それもそのはず、後で聞いたら、このLEGOのスポンサー料は、他と比べてちょっと違った。

 

いわゆる、ジェネレーションZ世代に対して、LEGOが頭をリアルで抱えている問題にたいし、私たちのチームは挑まなければいけなかった。そして、そこの市場を切り開けると、LEGOは、莫大なマーケトを手に入れることができる。そりゃあ、LEGOも本気を出す。

 

私たちのチーム構成は

プロダクト(台湾人:ポー)※社会人経験者

建築家(エクアドル人:ジョージj)※社会人経験者

エクスペリエンス(日本人:ヒラノ)※社会人経験者

グラフィック(デンマーク人:シンチィア)

サービスデザイナー(ノルウェー人:ユリア)※社会人経験者

インテリア(アメリカ人:ダニエル)※社会人経験者

 

で、社会人学生5人という、専門領域も別れていて、アベンジャーズみたいなチームメンバーだった。みんなメチャクチャ頭の回転が早く、やることなすこと明確。ただし、この手のワークショップあるあるだけど、ラスト3日で、グループからチームになれた。それまでは、みんな本気じゃなかった。ラスト3日は、アイコンタクトレベルで全てが進んだ。それくらい、チームビルディングの大切さを学んだ。

 

バックグラウンドが異なるため、リサーチウォールは必須アイテムとなった。SNSひとつとっても、USで流行しているアプリと欧州で流行しているアプリは異なるし、デンマークとドイツの隣合う国を比べても違う。日本のSNSは、もはやガラパゴス化しているし、中国にいたっては、鎖国状態。そんな状態で、いったい、どこのユーザの話をしているんだと、定義するところから始めなければならない。

 

だからこそ、話し合いが終わるとすぐに、図式化して、みんなの共通理解を促すといったことが大切だった。そして、サービスデザインのツールは、このためにあるんだって身をもって分かった。

 

最終的プレゼンでは、この理不尽な問題に対して、本当にガチのデザインシンキングを得て、出したソリューションが、とてつもない刺さり方をした(当社比)

 

担当者が興奮気味にコメントを出し、事業責任者から、直接お礼まで言われた。恐らく商品化されるだろう。(と信じたい。リップサービスかもしれないから)

 

このプロジェクトを通して、やればできるんだっていう当たり前の自己肯定感を得られたことが、鬱真っ只中の自分にはありがたかった。もちろん、それは超優秀なメンバーに囲まれたことも大きい。

 

ちなみに、複数人での英語の話し合いには、ついていけず、基本的には、図式化とセットで説明。マンツーマンであれば、自分の意見を言う。みたいなことをやっていたら、いつのまにか、トモの意見は、まとえているから、みたいな感じで意見を聞きにきてくれるようになって、なんだかそれが、信頼されたみたいで嬉しかった。

 

もう凝り固まっているので、英語脳にはなれないし、ネイティブみたいなキレイな発音もできないけど、自分の英語での戦いのやり方が少し分かった気がした。誰もがいうけど、それは、まあひとつの言い訳だけど、今風な言葉を使っていうならば、「リフレーム」なのだ。つまり、

大事なことは、コミュニケーションを通して課題を解決すること、そのデザインに意味を見出すことであって、英語を流暢に話すことでなかったんだ。(いや、でもやっぱりキレイな英語で話したいなぁ)

 

オフィシャルコメント

 

www.designskolenkolding.dk

 

"What I think is so great about these design students is that they are user-driven. They take their point of departure in the current needs and try to analyse these, and instinctively they incorporate insights into their design."
Søren Lethin, Concept Director, LEGO Group