On the Denmark: Dialogue

デンマークの滞在で起きたこと、感じたこと、行ったこと、分かったこと

58日目「私はリサーチャーでもあり、デザイナーでもあり、患者でもあります」

2017.10.23

今日から、2日間イギリスからまた新しい先生がやってきて、特別授業が行われる。彼女の名はPeta。彼女が何かしらのハンディキャップを背負っていることだけは、すぐに分かった。全身になにかしらの補助機器をつけているからだ。

 

授業は、「Wearable」とは何かというところからスタートした。そして、いかに自分が無知だということに気づいていく。日本だと、ウェアラブル=IoTできる電子デバイスとそのサービスみたいな漠然としたイメージがあるが、それだけじゃないことが段々と分かっていく。その問いかけも彼女からは発言しない。全部、学生に言わせる。発言がないと「とんだシャイなクラスだなって!」いじってくる。そうやって学生から意見を待ち、拾っていき、ホワイトボードに記載していく。そして、このマインドマップが適当に書いているわけではないことにだんだんと気づいていく。

 

彼女が考えた8レイヤーズというモデルに裏打ちされながら、授業は進む。学生は自分の意見とその裏側にあるロジックを一度に学んでいく。これが最終プレゼンで実は活きる。学生のプレゼン資料には、こういった最新のロジックが乗っかってくる。もちろん出典を明らかにした上でだ。コラボ企業は学生の提案がたんなる思いつきではないことをそのロジックを通して知る。(実際は思いつきだったとしても、そのように見えてします)ここが日本の美大教育と一番違うと肌で感じた箇所だった。Phdが授業をするとはこういうことなのだと分かる。

 

フィードバックも基本的には絶対に否定的なことは言わせない。そして、学生に発言させる。驚くほどに民主的に開かれた授業になっている。そして、いつもどおり、この2日間でプロトタイプを一つ作らなければならない。またしても、短期間での戦いが始まったのだ。

 

つづく