On the Denmark: Dialogue

デンマークの滞在で起きたこと、感じたこと、行ったこと、分かったこと

38日目「Welfare Design Project」

2017.10.02

今日は驚くことがたくさんありました。

▲授業の最初に配る配布物のデザインから違う。オシャレでテンションあがる!

 

Ph.D. student のTrineに自分の研究の概要論文を渡したら、読んでくれたのか?突然、彼女の持っている授業「welfare design」に参加してよ!と声をかけてもらいました。もちろん、おもしろそうだったので、喜んで2つ返事でOKでした。その授業が今日から始まりました。

 

この授業は、アクセサリーデザイン学部の3年生が受講しています。アクセサリーデザインというと、装飾、技巧などの工芸のイメージや、ジュエリーといった高額貴金属のイメージが強く、ソーシャルと真逆のところにいる印象でした。

 

しかし、この学校(またはヨーロッパ全体的に)テキスタイルデザインやアクセサリーデザインといった分野は、ソーシャルデザインに寄せてきています。その本質的理由が、今日出席して、最初のイントロダクションでなんとなくわかったのですが、もう少し身体的に理解して、確信を持ってから書こうと思います。

 

また、教育方法が日本の美大と違う視点を持っていて、驚きました。まず、授業の初日、美大の学部3年生に対して、論文が渡されます。「木曜日にみんなで議論するから読んできてね!」といった最新のデザイン研究と市場動向を論文から学ぶ姿勢に驚きました。大学院の授業かと勘違いしました。

 

そして、「明日、自分たちで○○のお宅に行ってインタビューしてきてね、これ電話番号だから、はい!」みたいな現場にいきなり投げ込むやり方。インタビューの方法もオープンクエッションとは〇〇である。みたいな基本的なことを教えてもらうということはなく「どうせデザイン見せに、2〜3回行くことになるから、明日は尊敬を持ってまずは、聞いてきないさい!お土産もっていくとか、何持っていけば話を引き出せるのか、何を聞けばよいか自分たちで考えてみて!」といった自分で学ぶスタイル。

 

そしてSocial inclusion Labのメンバーを招いて「表現ワークショップ」や「Tangible Dialog」といった最新のインサイト研究の紹介や、授業スタートからデザイン提案(終了)まで1ヶ月(しかもプロトタイプ2回も回す)といったかなりのスピード感あるスケジュール。

 

どれをとっても驚きの連続でした。やり方も違えば、教育レベルもハイレベルでした。なぜ、デンマークがこんなにもソーシャルデザインや参加型デザインといった最新のデザイン領域に強いのかの理由が分かったような気がしました。

 

そして、講師がPh.D. studentというのも驚きなのですが、Trineはデザインのセオリーに関する論文を書きながら、学部生を教え、さらに生後10ヶ月の子どもも育てています。小早川さん(藝大博士課程の先輩)とほぼ同じ働き方をしている人がデンマークにもいることにも驚きました。

 

最後に、Trineが授業が始まって学生一人ひとりに日記を配っていました。そして毎日リフレクション日記を書いてもらい、それを集めて、彼女の研究のデザインメソッドを裏付ける証拠物件にして、論文を書くんだろうなって(多分)ってことに更に驚きました!

 

というわけで、僕も20代の若者と一緒にまじって明日インタビューいってきます!

<続く>