On the Denmark: Dialogue

デンマークの滞在で起きたこと、感じたこと、行ったこと、分かったこと

33日目「Sustainableについて」

2017.09.27

本日は、Design School Koldingが開発した「Sustainable Design Cards」の打ち上げみたいな日でした。詳細は下記のサイトからご覧いただけます。

 

sustainabledesigncards.dk

 

まず、驚いたことは、こういった成果物を内部に持つのではなく、一般公開していく強さ!なんとなく、日本だとこれを使ってセミナー開いて、儲けようみたいな匂いがしますが、どんどんコレを使って社会を良くしよう!みたいな気運を感じられます。

 

そして、外国からメソッド輸入するのではなく、この学校が自分たちのプロジェクトを回しながら、授業をしながら、こういったメソッドを自分たちでつくっていく。そこに最高にしびれます。

 

僕も1セットもらったのですが、まずパッケージがない!ゴムで閉じてどーんみたいな感じでした!紙も再生紙だったりします。

 

Sustinable Designにおける、ある種の「パターンランゲージ」みたいなものだとは思います。パターンランゲージは、慶応SFCの井庭先生が有名ですね!いつも大変勉強になっています。 http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/sb/

 

なんとなくの感覚ですが、デザイナーが社会的課題に直面し「Sustainable」な答えを求める時にどういった、どういった視点でアプローチしていくのか、そういったデザイナーの実践知を体系立てたのかなと思いました。

 

ちなみに、この学校のプロダクト専攻の学生は、ガーナに1ヶ月間行って、まさにそこで「Sustainable」な答えを現場で探してデザインするそうです。6月に訪れたイスラエルでも学生がエチオピアに行って、そこでデザインする授業がありました。やっぱり、いまアフリカが熱いですね!

 

日本では、持続可能性というとクリーンエネルギーに注目が行きますが、こっちでは、「衣食住」といった人間の生活の基本となるところから、アプローチしている印象です。

 

例えば、こっちのテキスタイルデザインやファッションデザインは、既に「Sustainable・Social」な領域に入ってきています。動物の毛皮をどうやって再利用していくのか?展示会でつかった洋服をどうやって他のモノに再利用するのか?その他にも、社会的弱者の盲目の女性に服を編んでもらい、彼女らの生活を支える仕組みごと考えてデザインする、そんなプロジェクのお話もあります。

 

そういったお話を聞くと、日本のSustainableって少し、テクノロジーにより過ぎているのかもしれません。ケンブリッジ英英辞典で調べてみると、以下のように単語が定義されていました。

 

【sustain】持続する(動詞)

  1. to cause or allow something to continue for a period of time
  2. to keep alive

⇒(意訳)生きるために大切な何かを続けること

 

【sustainability】持続可能性(名詞)

  1. the idea that goods and services should be produced in ways that do not use resources that cannot be replaced and that do not damage the environment
  2. the ability to continue at a particular level for a period of time

⇒(意訳)環境にやさしく、代用可能な資源をつかって、商品やサービスを生み出す考え方や能力。

 

【sustainable】持続可能な(形容詞)

  1. able to continue over a period of time
  2. causing little or no damage to the environment and therefore able to continue for a long time

⇒(意訳)環境にやさしくて、時代を超えて、長い間、続けることができること

 

自分たちで、後世に残していきたい価値は何かを見極めて、それをどうやって残すのか。そんなところから出発しなければならない気がします。

 

去年、大学院の前期の授業で、台東区の伝統工芸と職人の仕事を題材にデザインをする課題がありました。仕事の実演、仕事場の観察などの調査を通してデザインを提案する授業でした。この授業で学んだことは、伝統工芸は作り手(職人さん)のリタイアによって、減少しているわけではなかったことでした。職人さんが使う道具を作れる職人さんもリタイアしていくことも原因のひとつでした。

 

つまり、伝統工芸という生態系がそこにはあって、それは職人さんと職人さんの繋がりで生きている世界だったのです。提灯やスダレといったプロダクトは、その結果であり、そこには、多様な職人さんたちの生きる世界(生態系)がありました。

 

伝統工芸を後世に残すということは、そういった仕組みごと、持続可能にしなければなりません。そして、残すものが本当に「商品」でよいのか?「技術」で良いのか?それとも「心意気」なのか?そういった、自分たちが後世に引き継ぐべき価値を分かるところから出発していくことが非常に大事なところなのかなと思います。

 

 

なんとなく、そういった大切にしなければならない「何か」をデンマークの人たちは分かっている、知っているのかなと思いました。

 

続く